SIMPLE LIFE

どうして人はSNSの誤情報を信じるのか

 インスタグラム、X(旧ツイッター)、FacebookなどのSNSツールは、今や欠くことのできないツールではあるものの、手軽に誰でも発信できることからくる弊害も出てきた今日この頃。

 個人が簡単・気軽に「匿名」で不特定多数に発信することができるだけでなく、不特定多数の人たちがその情報を拡散して「バズる」という状況を引き起こすことができるのは、SNSだからと言える。多分、SNSを使う人たちは誰かと情報を共有すること、情報を検索して手軽に手に入れることを便利だと感じているのだろう。

 しかし、手軽に情報を得られる、発信できるということは、その情報がフェイクである可能性もあるということをしっかり肝に銘じておかなければならない。その情報がどこから発信されたのか、本当に信じてよいのかを判断できる知識がないと簡単に騙されて偽情報を発信してしまう。情報をキチンと確認することはとても大事。

人は何故偽情報を信じてしまうのか

 Xに限って言うと、不安を煽る情報は信用されやすいのだとか。2020年新型コロナウィルスが猛威を振るった頃、X上で「マスク増産で紙が使われるので、紙製品が品薄になる」「中国でトイレットペーパーの増産が追い付かず、トイレットペーパーが品薄になる」なんていう不安を煽るようなものが拡散されて、そのあげくみんながトイレットペーパーを買いに走る、という現象がおきた。しかし、一時的に店頭から消えたトイレットペーパーは、すぐに店頭に並び、それと同時にトイレットペーパー不足のツィートも消えていった。

 1947年にアメリカの心理学者、オルポートとポストマンが提唱した「うわさの法則(流言の基本公式)」があ。これは「噂の流布量」は「情報の重要性」×「内容の曖昧さ」というもの。「情報の重要性」とは、世間一般の重要性ではなく、個人(その噂を聞いた人)にとっての重要性で、どれくらいその情報に興味があるかによって決まる。そして内容は「曖昧」であるほどその噂は拡散されるのだそう。

 1973年「豊川信用金庫」という事件があった。これはある女子高生の噂話から、愛知県の信用金庫があわや破綻という危機に陥った事件。始まりは豊川信用金庫に就職が決まった同級性に友達が「信用金庫って危ないよ」と言ったことだった。友達は「銀行は強盗に襲われるから危ないよ」というジョークのつもりでいったのだが、言われた子はそれを気にして家で父親に「信用金庫は危ないの?」と聞いた。聞かれた父親は経営状態を聞かれたと思い、知人に「豊川信用金庫は経営が危ないのか?」と聞いた。そこから噂が一人歩きして行き、その内容は「経営が危ないらしい」「経営が危ない」となった。

 その噂を聞いた人が、それは大変と預金を引き出そうと信用金庫に殺到し、20億円もの預金が引き出される騒ぎになった。信用金庫は「経営は良好です」というアナウンスをするが騒ぎは収まらず、最終的に日銀が「豊川信用金の経営に問題はない」という会見を行い、何とか騒ぎは収束したという。

 これは「資産」というだれもが興味を持つ情報と「危ないらしい」という内容の曖昧さが掛け算されて、情報が拡散された例。内容の曖昧さは人々の不安感を煽り、その不安から知り合いに情報を伝達して不安感を共有しようとする、そして人は何故か不安感を煽られる話は、あまり疑うことをしないのだという。

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